トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

傷跡

 気を揉んでいた背中の皮膚・皮下腫瘍手術が無事に終わり、10日経った。

手術そのものは痛みはなく(少し引っ張られているような感覚はあった)、むしろ腫瘍の周りに何箇所か打たれた麻酔注射がものすごく痛くて…硬い手術台の上にうつ伏せの状態で、拳を握りしめながら耐えた。あれはもう、普通の注射とは全く異なる痛みだ。できれば今後味わいたくない類の。

オペ室は窓もなく、無機質な空間だった。機材が綺麗に並べられ、どこか不安を煽るような照明の光、患者の緊張をほぐすためであろうオルゴールのBGMが流れていた。手術自体はたぶん1時間もかからなかったと思う。術後は担当の医者の説明を聞き、薬局で処方されたいくつかの薬を受け取り病院を後にした。自宅に着いてからしばらくすると、麻酔が切れてきたのか背中の縫合された部分がじくじくと痛みだしたけれど、痛み止めを飲んだおかけでその日をなんとか乗り切れた。次の日からはあまり傷の痛みもなかったのでホッとする。

 そうして約1週間後、背中の縫合の部分の抜糸をしに再び医大へ。傷は順調に塞がってきてはいるものの、完全に癒えるには3ヶ月〜半年くらいかかるらしい。これから1ヶ月は3Mテープ、という傷跡を保護するためのテープを週に2回ほど張り替え、24時間貼っておかなければならないということだった。

早めに対処しなかった自業自得だと言われてしまえばそうだが、この背中の小さな縫合跡は癒えても、一生残ってしまう。「彼女の背中に傷跡があるの、嫌じゃない?」と落ちこむわたしに、彼は「そんなの全然気にならないよ。たとえ傷跡が残ってしまったとしてもトネリコの本質は変わらないんだから。」と言ってくれた。わたしはいつも、彼の優しさに救われている。