トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

変わらないもの


f:id:ruiash:20220701231643j:image

 

 振り返っても、戻れない高3の夏。

なんていうのかな…?たとえ幼く不器用で空回りしてしまったとしても、その刹那でしか味わえない“好き”というのがあって。きっと、もう2度と会えないだろうとお互い分かってるのに『未来で待ってる。』って、『うん。すぐ行く、走って行く。』って。

たぶん、千昭が簡潔な言葉で語る未来の状況からして、彼が戻らなければならないのは絶望の世界だ。そんな絶望の世界で生きながら、これから真琴が残していくであろう絵画を未来の千昭が見るたびにずっと…あの高3の夏の日々のことを、真琴のことを思い出すのだと思うと泣きたくなる。

金ローで超久々に鑑賞した時かけ、自分では手に入れることのできなかったタイプの青春を謳歌する高校生たちを見て画面越しに感慨に浸り、余韻をひしひしと…ひしひしと噛み締めております…!

【変わらないもの】が流れるタイミングも最ッ高にエモすぎるし、河川敷のシーンはもはや反則級。奥寺脚本、貞本義行のキャラデザ、山本二三の美術背景、奥華子の澄んだ歌声、すべてが愛おしい(やはり私のなかで細田守の最高傑作は時かけであることは不動だ)


f:id:ruiash:20220702011955j:image

 

 時かけ…もう何度も見返しているのに、中学生の時にどハマりして10代からもさらに遠ざかったアラサーの今のほうが、より切なさで心に沁みるんだよなぁ。

 

シン・ウルトラマン

 

 金曜日、シン・ウルトラマンを鑑賞してきた。

正直なところ、これまで私は特撮モノにハマったことがないし知識も疎く(シン・ゴジラは最高だったけど)、しかし樋口真嗣×庵野秀明のタッグで特撮となると…。庵野ファンの自分としてはやはり観に行かねば!という使命感に駆られ(いや、だってもう製作スタッフからしていつものというか…監督補佐:摩砂雪、音楽:鷺巣詩郎だとか、安定のエヴァ陣だらけ)、そんなわけでガチ勢だらけの初日にチケットを購入。


f:id:ruiash:20220514182506j:image

 

 ウルトラマンに関する予備知識がほとんどないフラットな気持ちで映画館に足を運び鑑賞したので今回はレビューらしいレビューは書けないけど、まぁそれなりに楽しめた(でも個人的には全体のストーリーのおもしろさとしてはシンゴジのほうが好き

 地球外知的生命体に対する呼び方が外星人、てのが今までにない新しい感じでいい。クルクルと回転しながら戦うウルトラマンかっこいい、禍威獣のデザインの使徒っぽさにテンション上がる、いかにもザ・庵野作品って感じの異様なアングルが炸裂、登場人物も彼のアニメのキャラそのまんまみたいな口調だった。スーツ姿の巨大な長澤まさみが街を闊歩するシーンでは『私はいま一体何を見せられてるんだ…?』と思うも、これも空想特撮映画の遊び心か。

エンドロールにも思わず笑みがこぼれそうになる。総監修・庵野秀明ってもうほぼ監督やってるようなもんじゃないか(笑) まぁ、DAICON FILM時代の【帰ってきたウルトラマン】で、ウルトラマンオタをこじらせすぎて自分自身がウルトラマンにまでなってしまった庵野のことだし、あちこち手を出さずにはいられなかったんだろうな。

 


www.youtube.com

 

 【シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(略:SJHU)】って、いつの間にかそんなくくりになっていたなんて…。

 

5/5(木)夜ごはん

 

 遠出もできずに大した予定もなく、一昨年、去年に引き続きおこもりウィークだった私のGWはもう最終日。

午前中は、部屋の窓ガラスの目隠しシート(100均で購入したUVカット仕様で無地のもの)の一部を貼り替え作業した。さほどたくさんの量ではないのに、貼る位置がなかなか定まらずにズレたりして悪戦苦闘してしまう。こういうとき、手先が不器用な自分にむず痒くなる。

 作業中、ドルフ・ラングレン主演の【バトル・ハザード】というB級ゾンビ映画を流し観していたのだけど(ゾンビに汚染された街を舞台に、特殊部隊の少佐[ドルフ・ラングレン]がとあるセレブから報酬を受けとる代わりに令嬢を救出しに行く、という特にひねりもないストーリー)屈強な肉体でこれでもかとゾンビを倒していくドルフ・ラングレンが時折見せる老眼鏡姿に萌えた。


f:id:ruiash:20220505094124j:image

 

 今日の夜ごはんは三つ葉とちくわのすまし汁と、カレー。

今が旬の三つ葉。毎年この時期になるとすまし汁が作りたくなる。カレーはいつも定番のだと飽きるので、一人暮らしをするようになってからは色々なアレンジで食べるのが好きになった。今回の具材はチンゲン菜、しめじ、パプリカ、鶏ミンチ、枝豆。カットトマト缶と醤油も少しだけ加える。カレールーさえあれば大抵の具材はおいしい。


f:id:ruiash:20220505172843j:image

 

 そしてついに見つけた、赤城乳業のかじるバターアイス(オリジナルver.)

やっと…やっと出会えたよ~!県内ではあまおういちごver.しか売ってないと思ってたから、ファミマで見つけた箱版には感動しちゃった…。さっそく食べてみると、濃厚でクリーミーな、ほんのりとした甘さの残るバターの風味。求めていたバターアイスの味はまさにこれ。バター偏愛党の自分としては余裕で合格点に到達しました。

 

北欧の至宝と呼ばれる男


f:id:ruiash:20220413225759j:image

 

 転生したら、マッツ・ミケルセンに抱かれて死にたいです。


f:id:ruiash:20220413225843j:image

 

 優雅で気品があって、どこか底知れない感じの演技、お茶目だったり知的だったり、渋く艶っぽい雰囲気…。2010年にはデンマーク女王からナイト(騎士)の称号を授与された、リアルでこんなイケおじがこの世に存在してるなんて信じられない…信じられない…。


f:id:ruiash:20220413225950j:image

 

マッツの醸し出す世界観が魅力的すぎて、北欧の至宝だなんて誰がそんなぴったりの異名を付けたの?

 

THE BATMANが控えめに言って最高だった件(ネタバレ感想)

 

《正義を気取るならウソはなし、見て見ぬフリをした代償は?》byリドラー


f:id:ruiash:20220315171638j:image

 

 THE BATMANを観てきました。

ノーラン監督の「ダークナイト」トリロジー以来10年振りのバットマン単独映画ということで期待せずにはいられなかった本作。以下、ネタバレ感想ありますのでまだ未鑑賞のお方はご注意ください。

 

【THE BATMAN】〜あらすじ〜

 優しくもミステリアスな青年ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は両親殺害の復讐を誓い、悪と敵対する存在“バットマン”になって2年が過ぎた。

ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。その犯人を名乗るのは、史上最狂の知能犯リドラー(ポール・ダノ) 彼は犯行の際、必ず“なぞなぞ”を残し、警察や世界一優秀な探偵のブルースを挑発する。最後のメッセージは「次の犠牲者はバットマン

彼はいったい何のために犯行を繰り返すのか?そして暴かれる、政府の陰謀とブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪…。すべてを奪おうとするリドラーを前に、ついに彼の良心が狂気に変貌していく―。


f:id:ruiash:20220316124456j:image

 

【感想】

 

 はっきり言います。最狂の病みヒーロー映画すぎて身悶えました(褒め言葉

個人的にマット・リーヴス監督のどこまでもダークな演出のザ・バットマンの世界観、これまでのバットマンの映画のなかで一番好きかもしれない…!!全体の印象としては、サスペンス色がかなり強め。権力者に蔓延る腐敗と陰謀が絡むストーリーがおもしろかった。

♪デーンデデンデーンデーンデデンデーン…というまるでヒーロー映画らしからぬ不穏な重低音のBGMと共に暗闇から現れるバットマンが最高にかっこくてゾクゾクした(ダークヒーローもの好きとしての厨二病の血が騒ぎ始めて導入部分から心持ってかれたよね…っていう

超能力系が多いアメコミヒーローのなかでも(装備がハイテクといえど)生身の身体で肉弾戦をするのがバットマンの魅力なのだけど、今作はバットマン=若きブルースの内に秘める葛藤、復讐心、怒り、人間臭さがより強調されていて、バットマンとしてゴッサムの自警に没頭しつつも一歩間違えば正義感に取り憑かれた怪物になってしまう、その危うさと孤独さに共感せずにはいられなかった。正義と狂気は紙一重なのだと。

ポール・ダノリドラーはマスクしてないときのほうがサイコ感あって◎そして煽り方が抜群に上手い。バットマンっていつも大変だよね、やたら知能指数の高い愉快犯を相手に戦わなきゃいけないんだから…。

リドラーの犯行の手口がなんとなくあの有名なゾディアック事件の犯人を彷彿とさせるなぁ、なんて思っていたら映画についてのインタビュー記事読んだらやっぱりゾディアック事件からインスパイアされていたらしい。それにしても、ブルースの頭の柔らかさといったら。あなたはなぞなぞ王ですか?

中盤のカーチェイスシーンも大興奮せずにはいられなかった。 バットモービルかっこよすぎ!今回のバットモービルはどことなくモンスター感がある。不気味なエンジン音を立てながら物凄い勢いで追ってくるバットモービルの映像はまるで、スティーヴン・キング原作のホラー、クリスティーンを思い出す。転倒した車の中からペンギン視点での、爆炎をバックに歩み寄るバットマン(コウモリは逆さまから世界を見ている、とここで表現してくれるのが最高)の図も痺れる。

 それにしてもジョーカー、ハーレイ・クインリドラーといいバットマンヴィランはどうしてこうも魅力的なのか…(Mr.フリーズとかは置いといて

リドラーにとっての復讐。ゴッサム再開発の資金が権力者や金の亡者の手に渡ってしまったこと、彼の口から語られる《本当の意味での孤児》、《嘘だらけの世界》の生々しい現実。確かに、ブルースは両親を殺され孤児だったけれど彼の家柄…ウェイン一族はもともと裕福だし、執事のアルフレッドは絶対的な味方でいてくれのだからまだ境遇としてはだいぶ恵まれている。そういう意味ではリドラーも、ホアキン・フェニックスが演じていたジョーカーも、社会的弱者……決して他人事とは言えない、恵まれない・持たざる境遇の人たちの心の叫びを体現した、この世の中の残酷な格差社会が生み出した哀しきヴィランだ。


f:id:ruiash:20220316125600j:image

 

 ザ・バットマンにおいての、陰のある近づきがたい雰囲気を放つロバート・パティンソンのブルース(あまり大富豪感がなく終始笑顔ゼロ)がどストライクすぎて。マジでヤバいよね、あの暗くて病んだ瞳…(笑)ハリウッド俳優ってやっぱ凄いわ。バットマンver.での色気もたまらん。ロバート・パティンソンのバットマンはシルエットも大変美しい。造形美。


f:id:ruiash:20220316152530j:image

…今はただただ、ロバート・パティンソンのことしか考えられない。

 

 アーカム精神病院の独房で計画の失敗を嘆くリドラーに話しかける謎の男、会話中に“ピエロ”という単語出てきたのもあって、あぁ、ジョーカー出てきたなー、と。続編ではもしかするとリドラーとジョーカーのタッグが見れる可能性もある。楽しみ。

 ザ・バットマンにおいてただひとつ、残念だったのがゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンが被っていた猫耳のあれが安っぽい(あれ、ほっかむりっていうんだっけ…?)にしか見えなくて…。衣装担当の人、あのデザインもっとどうにかならなかったのか?(正直ダークナイトアン・ハサウェイよりもゾーイ・クラヴィッツのほうが容姿は好きなんだけどね…

 


www.youtube.com

 

挿入歌の、ニルヴァーナの『Something In The Way』がとてもいい味を出してた。今は亡きカート・コバーンの、どこか退廃的な歌声がザ・バットマンの世界観によく合っていると思う。

 


www.youtube.com

 

 観賞後数日経ったけど全然映画の余韻が抜けない。まだしばらくは、ゴッサムの闇に浸っていたい…。