トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

最近観た映画ログ【Vol.7】超簡潔感想(ネタバレあり)

 

 最近観た映画ログ(サブスク等)です。新旧作品ごちゃまぜ。

超久々。日々あれこれ観てはいるのですが更新サボりまくりで…。いつも通り軽~く緩い、個人的なネタバレ感想。短いよ!

 

【ラストナイト・イン・ソーホー】

 ファッションデザイナーを夢見てソーホーのデザイン専門学校に入学したエロイーズは、新居のアパートで眠りにつくと60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的な女性サンディと出会ったエロイーズは、次第に身体も感覚もサンディとシンクロしていく。夢での体験の影響から、充実した現実での生活を送るようになるエロイーズだったが、彼女はある日、夢のなかでサンディが殺される場面に遭遇してしまう…というあらすじ。

 エドガー・ライト監督作品なだけあって、色合いや60年代のロンドンの雰囲気がお洒落。エロイーズは完全に事故物件引いちゃったんですね…。後半の亡霊がいっぱい出てくるところとかは若干のチープさはあったものの、60年代の圧倒的に男性優位な社会で、夢を叶えたくとも性搾取され挫折や絶望を味わうサンディに共感せずにはいられない。この映画でアニャ・テイラー=ジョイますます好きになった。つらい内容ではあっても、かといって悲劇的になりすぎないような(音楽効果も相まって)ポップな仕上がりではある。

 


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リリーのすべて

 風景画家のアイナーは、肖像画家の妻ゲルダと仲睦まじい充実した毎日を過ごしていた。ところがある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたアイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在に気付く。以来、リリーという名の女性として過ごすようになり、心と体が一致しない事に困惑し、ゲルダも夫が夫でなくなっていく事態に戸惑うようになる…というあらすじ。

 実話に基づいたジェンダー作品。エディ・レッドメイン演じるリリーの繊細な仕草や立ち振る舞いが圧巻だった。妖艶でとても引きこまれたし、劇中に出てくるアイナー&ゲルダ画家夫妻が描く絵画や彼らのファッションも素敵。世界で初めて性転換手術を受けたアイナー、想像を絶する恐怖だったと思う。それを支える妻・ゲルダの立場にも考えさせられるものがある。なかなか答えが出ないんだよね、人間っていつ何があって変化するのか分からないのだから。リリーの勇気で今の世界にどれだけ救われたひとたちがいるだろう?性自認、カミングアウト、認められない葛藤…わたしの語彙力でどう表せばいいのか難しいけれど、より多くのひとが生きやすい世の中になってほしいと切実に思う。

 


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【LAMB/ラム】

 アイスランドの山間で暮らす羊飼いの夫婦、イングヴァルとマリアはある日、羊の出産に立ち会った際に羊ではない“なにか”が生まれてくるのを目撃する。子どもを亡くした経験を持つふたりは、その“なにか”にアダという名前を付けて育てることに。アダとの家族生活は幸せそのものであったが、やがて彼らを破滅へと導いていく…というあらすじ。

 A24の羊系ホラー、登場人物の会話少なめ。途中、羊人間のアダが何かよからぬことでもやらかすか!?とハラハラしつつも普通に最後まで純朴でかわいくて優しい良い子だった。観る前は終始鬱屈とした映画かと思ってたのに、大人組がサッカーの試合中継で盛り上がったりほろ酔いでわいわいしてるシーンもあったり。でもマリアは結局、愛する夫もアダも失ってしまいあのラストの後どうやって生きていくんだろう…。アダを連れて行った、たぶん本当の父親であろう羊男は、羊の悪魔的な存在だったのか?(謎

 


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【ナイブズ・アウト:グラス・オニオン】

 IT企業の大富豪マイルズ・ブロンは地中海にあるプライベートアイランドに親しい友人たちを招待し、ミステリーゲームの開催を持ちかける。ところが島で実際に殺人事件が発生。遊びだったはずのゲームは一転して恐ろしい事件となり、参加者は容疑者候補になってしまう。名探偵ブノワは友人同士のなかで交錯する思惑や、その裏に隠された真相を明らかにすべく、事件の調査に乗り出す…というあらすじ。

 名探偵ダニエル・クレイグが活躍するナイブズ・アウトの続編。今作はクリエヴァ出ないのかぁ…と寂しく思っていたけど、エンタメミステリとして全然外してなかったし伏線回収のテンポもよく、エドワード・ノートン演じる大富豪のクズっぷりも◎モナリザ大炎上にはつい笑ってしまった。双子だったのは気付けなかったぜー!

 


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ライトハウス

 1890年代、ニューイングランドの孤島にやってきたふたりの灯台守。彼らにはこれから4週間にわたって、灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。だが、年かさのベテラン、トーマスと未経験の若者イーフレイムは、そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。険悪な雰囲気のなか、やってきた嵐のせいでトーマスとイーフレイムは島に閉じ込められてしまう…というあらすじ。

 またしてもA24ホラー(着眼点が独特で興味をそそられる作品が多いんですよね~)で、泥臭そうな身なりのウィレム・デフォーロバート・パティンソンの怪演を楽しむモノクロ映画。劇中で幾度も繰り返し鳴る霧笛の音がもう不快で不快で…!あんな孤島の閉ざされた空間で四六時中不愉快な音を聴かされ、そりの合わない相手と数週間も共同生活送らなきゃいけないなんて悪夢でしかない。トーマス(ベテラン)によるイーフレイムへの当たり(新人いびり)が酷く、カモメもやたら好戦的だし(笑)、1秒でも早く脱出したほうがいい環境。 ジャンルとしてはホラーだけど見方によっては完全にギャグ。ただ、鑑賞後はひたすら疲労感が残った。

 


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Vフォー・ヴェンデッタ

 第3次世界大戦後、独裁国家となったイギリス。ある夜、イヴィーは街の自警団に絡まれていたところを謎の仮面姿の男“V”に助けられる。彼はイヴィーに自分が企てた爆弾テロの現場を見せると、颯爽と姿を消してしまう。V”と出会い、自分自身についての真実をも知るようになったイヴィーは、図らずも“V”の協力者となり、自由と正義を取り戻す革命のために立ち上がる…というあらすじ。

 いや、マジで最高。鑑賞前はそんなに期待してなかったのに、シリアスモードのバットマンといい、こういう暗~い社会派問題を鋭くぶっこんだダークヒーローDC映画、めっっっちゃ好み。古典文学の引用、“V”の美術館のような隠れ家にもセンスを感じる。ヒューゴ・ウィーヴィングの演じる”V”が聡明かつ傲慢でアクティブ、時にはお茶目な紳士でかっこいい!(そしてラストまで素顔が謎なのもまた、良き)

 ここ近年ですっかり有名になってしまった天才ハッカー集団、アノニマスがなぜガイ・フォークスの仮面を被るのか、この映画の”V”の存在も少なからず彼らの理念に影響してるんだろうな、と納得せざるおえなかった。私利私欲に塗れた政治と製薬会社の癒着、メディアに蔓延る情報統制…まさにこの映画は今の時代そのものなのでは?プロバガンダに反旗を翻す国民の描写は痛快で、『こんなちっぽけな存在の自分でも本気になれば革命を起こせるんじゃないか?』と夢を抱いてしまうほどの、予想の斜め上をいく感動を味わってしまった…!(トネリコのお気に入り映画リストに追加されました

 


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 調べて知ったのだけどこの映画、2020年夏に中国では配信禁止になったらしい(日本では現在アマプラで見放題だよ~) …それだけ【Vフォー・ヴェンデッタ】はある一部の支配層にとって、とても都合の悪い内容なんでしょうね。