藤本タツキの読切マンガ【さよなら絵梨】を読んだ。
とある映画を撮影し、学校でそれを上映したのをきっかけに始まった少年の物語にぐいぐいひきこまれていく。創るためには既存する多くの作品のインプットが必要なこと。母親のトリック(死の直前の母親の台詞には鳥肌が立った)。編集の大切さ。ありきたりな感想になってしまうけど、マンガにおける“爆発”の表現をエモいと思えたのは久々だ。読み終わったあと、目頭に熱いものが込み上げてきた。
【ルックバック】のときも思ったのけど、藤本タツキの描く創作論には心揺さぶられる何かがある。私を含め、創作する、という行為に1度でも熱中した経験があるひとならなおさら共感できるんじゃないだろうか。
たとえ大勢にバカにされようとも、この世界にひとりでも「おもしろい」だとか「よかった」と言ってくれるひとがいれば、どうしようもなく嬉しい。創るのって、とても素敵なこと。けっして大きな影響力になれなかったとしても(万人に受けるのなんて無理なのだから)…それでも誰かの記憶の片隅で、ふっと思い出してもらえる一瞬があったとしたら、幸せなのだと…。そんな気持ちの熱量を【さよなら絵梨】に突きつけられた気がした。