5月20日。その訃報を知った時、何が起こったのか理解できず手の震えが止まらなかった。狼狽せずにはいられない。私が愛してやまないベルセルクの原作者、三浦建太郎先生が急性大動脈解離で亡くなったのだから。
今年で連載30周年。ファンが恐れていたことが、こんなに早く現実になってしまうなんて。
中世ヨーロッパのような舞台で繰り広げられる重厚で壮大なダークファンタジー。圧倒的で緻密な作画。それぞれの登場人物の、心が抉られるような台詞と、愛憎渦巻く人間関係。美しく孤高の存在であったグリフィスがガッツに出会ってしまったことにより身も心もボロボロになっていく過程だとか(ベルセルクに出会えたことである意味、自分の色んな嗜好の発見にもなった…)暗闇の中で、逆境であったとしても足掻き戦い続けるガッツの姿にどれだけ感動と興奮を覚えたことだろう。
闇と光の美しさを、私に教えてくれたのはベルセルクでした。
黄金時代篇、断罪篇、ロスト・チルドレンの章、ファンタジア篇…本当におもしろくて、世界観が好きすぎて、一読者として夢中で追いかけていた。どんなに休載していても待つのは全然苦ではなく、新刊が出るたびワクワクしながら本屋に足を運び、画集を眺めるかのような心持ちでじっくりじっくり頁をめくりながら読むのが楽しかった。
ミレニアム・ファルコン篇くらいまではホントにグロいしエロいし暗くて重くて救いようがないし(誉め言葉です)大人向けな内容だから読む人をかなり選ぶ作品ですが、ハマる人はとことんハマッてしまうのよねぇ…。
特に13巻の、蝕。あれを読んだ時の絶望は今でも忘れられない。こんな表現方法があったのか…と、かなりの衝撃を受けた。ゴッドハンドのスランの言う通り、…愛、憎悪、苦痛、快楽、生、死…ベルセルクのすべてがあそこに詰まってる…。
おどろおどろしいものと、可愛いものや美しいものの描き分けがこんなに上手い人が他にいる?ってくらい、三浦先生って作画の振り幅がとにかく物凄いんですよ。
もうどんなに願っても、ベルセルクの続きを読むことは叶わない。
三浦先生がもうこの世にいないなんて信じられないし、まだしばらくその事実を受け止められそうにありません。茫然自失状態です。
そして、こんな方法でしか気持ちを伝えられないけれど…どうか言わせてください。
ベルセルクに出会えたことは私にとって宝物です。ただただ、感謝しています。ありがとう、三浦先生。お疲れ様でした。これからは天国でゆっくりお休みになってください。
まるでガッツのように自らの命を削りながら戦い続け、描いてくださった唯一無二の物語を私は一生忘れない。