トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

批判覚悟で、どうしても、物申したい事があります。【ネタバレ注意】さようなら、全てのエヴァンゲリオン【シン・エヴァンゲリオン劇場版:||】

 

 3月8日(月)、待ちに待ったシン・エヴァを見てきました。公開から数日経ち、ようやく感想を綴れる心境になってきたので…。もうそれくらい、呆れとショックと悲しみで気持ちがまとまらなかった。正直、今も心が荒んでおります。

自分はシンジ君大好きなので「シンジ君に希望があるような結末になるならどんな形だっていい!」なんて思ってたけど。幸せになるにしても、そこに行きつくまでの過程がそれ相応に説得力のあるものでないと、結局意味が無いんだな…って。

シン・エヴァを「最高だった!ありがとう庵野監督!!」と喜びと感動の涙で語れたのならどんなに幸せだっただろうか?まず最初に注意喚起しておきますが、綺麗事はなしに何もかも素直に、本音で綴るつもりです。シン・エヴァのネタバレされたくない方や絶賛派、とにかく終わった事に意義があると思われてる方、全肯定されている方は見られないほうがよろしいかと思います。

 

 

それでは、エヴァファンの最後の一足掻き(怒り)と偏愛に満ちた語り(ほぼ批判)に興味がある方だけスクロールしてください。

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 庵野さんの事だからまた何かやらかすかもとは薄々感じてはいたけど、まさか予告編がテンションのピークだったなんてね。今回のシンエヴァで、関係者内の絶賛評価はつくづくあてにならないんだと気付かされた。自分自身の目で見てきちんと確かめなければ。

前半の、生存者の村パートはまだマシなほう。ニアサードインパクトを経験し14年経って大人になったトウジとケンスケ、年月は経っても彼らはやはりシンジ君にとって良き友なのがホッとした。Qが酷すぎたせいか、シンのトウジとケンスケの優しさは身に沁みる…。トウジは委員長と結ばれて子どもあり。大繁殖してたペンペン(笑)アスカのケンケン呼びに度肝を抜かれる。ケンスケの前で裸が見えるような服装でも平気そうにしてるアスカ、14 年 の 間 に 何 が あ っ た ?

そして始まる綾波の農作業エヴァンゲリオン。田植えをしたり、猫にときめいたり、おばちゃん達に世話焼かれて照れていた綾波が可愛かったのが唯一、この映画での癒し。あの村でのやり取りはこれまでのエヴァからするとかなり異質。そこはかとなく、細田守作品的な要素が…。カヲル君の死のショックで一時期喋れないほどまで落ち込んでいたシンジ君がケンスケやトウジ、綾波(通称そっくりさん)との交流や優しさで次第に前を向き始められるようになるのだけど…。でも、そこからが酷いのなんの。

 

加持さんはもうすでに、死んでいた…。しかもミサトさんとの間に息子がいて、その子の名前も加持リョウジミサトさんはヴンダーの艦長として生きなければいけないために加持少年の母親である事を諦め、加持少年当人は、両親の存在を知らない。

 

…は????

加持さんとミサトさんとの間にいつの間にか息子がいたというのはツッコミどころが追いつかないのでここではまず置いておく、それにしても「加持さんは死んでる」だなんてケンスケの口からシンジ君に伝えられるのが信じられなかった。呆れて物が言えない。何だよ、死んでたって。あぁ…なんていうんだっけこれ、キャラの死が、きちんと描かれることなく人の口だけで語られるやつ。ナレ死っていうの…?

正確にいえばサードインパクトを止める前にミサトさんに別れを言う回想シーンはあるのだけど、それにしても過去形だとは。ちょくちょく出てくる回想シーンも使い回し映像ばかり。

 

ネルフでしか生きられない綾波は結局パシャり、そこからシンジ君が自分のしてきた事への決着をつけ、ゲンドウと対峙するために友人たちに見送られつつアスカと共にヴンダーへ戻ったのだけど、それからの戦闘シーンも壊滅的につまらなかった。

グルグルとアングルが変わるだけで全然カッコよくないエヴァの戦い、ゴチャゴチャしてて目で追えない。ヴンダーが活躍するシーンも面白味に欠け、特攻してまたしても爆破で死んでしまうミサトさん

ゲンドウの独白まぁいいとして、裏宇宙での初号機VS13号機なんて、撮影セットの中やミサトさんのマンションのリビングで戦ってたり、よく分からないギャグシーンのような数々に失笑するしかない。

 

 一番の問題はラスト。駅のホームにて、おそらくエヴァのないであろう世界?で大人になった、スーツ姿でベンチに座っているシンジ君。

「だーれだ?」とシンジ君の後ろから目隠しをするマリ。たぶん待ち合わせをしていたであろう2人。シンジ君はマリに対して、「胸の大きい、イイ女」、「君こそ相変わらず可愛いよ」(CV:神木隆之介)…なんて陳腐な台詞を吐き、マリはさも当たり前かのようにシンジ君のDSSチョーカーを外し、2人手を取り合って現実世界(実写映像)へと走っていく。

 

~おわり~

 

…………何なんだ、これは。

もうワケ分からん。しょうもないにも程がある。二次創作見てるのかと思った。

あと、シンジ君が成長して声変わりしたのを表現したかったのか、シンジ君の声が神木隆之介になっていた。緒方さんは低温ボイスも出せる声優さんなのにこの改悪。

「胸の大きい、イイ女」、「相変わらず君も可愛いよ」…、こんな唐突なのが、シン・エヴァの、ラスト付近の会話だなんて…信じられます…?????

台詞にも価値観の古さが滲み出てるし、いくらなんでも言葉のセンスが最悪すぎる。EOEのアスカの「気持ち悪い」のほうがまだ受け止められるよ。モヨコとのイチャラブなら他でやってくれ。

これまで25年という長きに渡って築かれた綾波とアスカという魅力的な2大ヒロイン(外見的なものだけでなく、人間味があって、どこか欠けている部分でさえも切なくてとてもエヴァらしさを感じるものだった)を差し置いて、用意された結末がこれか。

いや、マリエンドにするならするで、シンジ君との交流をもっと丁寧に描いてほしかった。破で謎の新キャラという立ち位置で出てきたマリが、今回のシンでもこれといって素性が明かされることもなく(ゲンドウや冬月、碇ユイの昔からの知り合いではあるらしいが、どういった経路でエヴァパイロットに選ばれたとかバックグラウンドが全く見えてこない)、それにしてもまさか最後の最後まで何考えてるか分からない謎のキャラのまま終わるなんて(作中ではマリの心理描写も一切ないので共感性も皆無)思いもしないよね。マジで何だったの…、マリって…。ただのおっぱい大きいエヴァパイロット?

ちなみにこのマリ、貞エヴァ最終巻でちょっぴり過去のおまけエピソード的なものがあり、(冬月のゼミの研究生っぽい)ユイにガチ惚れしてるんだよね…。シンエヴァでマリのその設定が生かされてるかは不明だけど、自分が惚れてた女の息子とああいった会話を繰り広げていたとすると…それこそ狂気の沙汰じゃないか。

 

 Qから8年も待ってこれだとは。YouTubeTwitterYahoo!映画レビューではやたら大絶賛してる人が多くてどこか違和感を覚える。ねぇ、本当にみんな心の底からそう思ってんの…………!!??

庵野さんは天才だと思うし尊敬している。しかしシン・エヴァのあまりにも横暴な結末に、完全に心が折れました。何が再構築だよ。

そして私の好きなエヴァの世界観は、TV版、旧劇場版、貞本版、新劇場版:序、破でとっくに終ってたんだな…ってつくづく思い知らされた。

 さようなら、全てのエヴァンゲリオン