トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

【凄すぎて震えた】進撃の巨人32巻が傑作な件【大真面目に語る】※ネタバレ注意


f:id:ruiash:20201028210404j:image

 

 この世から戦争がなくならない理由を、これ程までに秀逸に表現できているマンガが他にあるだろうか?ってくらい進撃の巨人32巻がマジで凄い、語らずにはいられない。

進撃の巨人という作品は、全体として単なる人間と巨人との戦いではなく、目の前にどんな困難が立ち憚ろうとも団結できない人類の業(ごう)が見事に描かれている。何とも複雑で重いテーマ。そして進撃の巨人は、本当によくストーリーが練られている。進撃の巨人という作品はダークファンタジーでありながら、まるでこの三次元の、現実の世界の問題をリアルに反映して鋭利な刃物のように読者に突きつける。

 私が思うに、勧善懲悪な物語が好きな人はきっとこの物語は楽しめないだろう。私が進撃の巨人が好きな理由のひとつ、それは様々な人達の、たくさんの価値観を確固たる理由で見せてくれるところだ。ひとりの人間から生まれる作品で、こんなに色んな立場の人の価値観を描けるなんて諫山先生天才すぎでしょ…王道の少年マンガなら主人公は弱者を救うため正義のために戦う的な展開はありがちだけど、アニメ3期の主題歌でありED曲、リンホラの【暁の鎮魂歌】の歌詞の一部「立ち位置が変われば正義が牙を剥く 檻の中で吼えているのは 果たしてどちらか?」がその的をよく得ていて、ある立場の人達が自分の価値観で正義の行動を取ったとしても、それも別の人達の立場になってみれば悪の所業で苦しめられてしまう。キャラクター、一人一人の立ち位置が全てグレーゾーンだからこそ本当に共感できる部分が多くて、キャラの生い立ちや行動心理、台詞に全く無駄がないんだよね。諫山先生お若いのに人生何周目なんですか…?何でそんな悟ってるんですか?ってくらい、物語に説得力がある。キャラ一人一人の台詞に圧倒される)自由になるため、何かを変えるため、守るため…それは時として、綺麗なままではいられないのだというのがこの世界の悲しい真実だ。

 エレンは歴史上、巨人によって世界を支配し蹂躙して長きに渡り世界から恨まれた自分たちの民族【エルディア人】の安楽死計画(簡単に言えば、エレンの民族・ユミルの民がこれ以上子孫を残せなくする計画)を拒み、自由を求め自分の生まれ育った島の人々と仲間たち以外の、島外の人類を根絶やしにする道を選ぶ。しかし、それを実行するしか自分達の仲間を守る方法が、壁の中で暮らす人々が生き残れる手段がない。【地鳴らし】を発動させ超大型巨人を引き連れ、自分の故郷の島以外の人間を、虐殺するため歩み始めた。例えそれが、何の罪もない女子供であったとしても、だ。

被害者が、うって変わって加害者にもなり得る可能性。幼い日に、目の前で巨人によって母親を理不尽に食い殺されてしまい恐怖と怒りと悲しみと絶望を味わった人間が、今度はそれを別の人々に与える立場になってしまった。まさに、負の連鎖。ここまでくると、進撃の巨人めちゃくちゃ救いようのない話だな…、しかしながらその過程と伏線回収が神掛かってるので、もう面白くて、面白くて…読み進まずにはいられない。

 ↑こんな事をつらつら語っておきながら私もエルヴィンの死で心にぽっかり穴が空いてしまい、一度は進撃を読むのを一時中断してたけど、また再び読み始めるようになって本当に良かったと思ってる。やっぱり、ストーリーの練り込みようがクオリティ高すぎるから気になるんだよな。この、美しき残酷な世界観。はぁ〜、たまらない。

進撃の巨人32巻を読んで、マンガというコンテンツの表現力の素晴らしさを改めて再認識させて貰えたので、この時代に、このタイミングで進撃の巨人の一読者である事に感謝すらしている。マーレ編で離脱しちゃった人、絶対勿体ないと思う!

…ちなみにこの32巻で1番好きな台詞は、エレンの虐殺を止めるために残り少ない仲間と動き出そうとするハンジさんが、死んでいった仲間たちに向けて「この島だけに自由をもたらせばいい そんなケチなことを言う仲間は いないだろう」…って言うところ。正直痺れました。愛しいです、ハンジさん…!!32巻の表紙は大好きなハンジさんがカッコよくてお気に入り。進撃の巨人の女性キャラっていいよね。何でかって、そりゃあ人間だから弱みもたくさんあるけれど、進撃の女性キャラは皆、男に媚びず地に足の着いた自立した強い女性ばかりだから、カッコいいんだよなぁ、これが(まぁハンジさんに至っては女性だとは明言されてないけど…アニメではおっぱいあるし…私は女性だと!思っています!)しかも、進撃は安易なラッキースケベ的なシーンが全然ないのも素晴らしい。

 そしていきなり同人、二次創作の話ぶっ込みますが私、実は密かにリヴァハンの民なのだけど(ここで発言してしまった時点でもうオタを隠す気ないっていう)二次元における自分の推しがどうしてか、高確率で死ぬので(エルヴィンもそうだったし、他作品のキャラでも…なぜだーーーッ!!?)ハンジさんや兵長もそろそろ…ね、ヤバいんじゃないかと思ってる。泣く準備はいつでもできてるんだぜ…うぅ…つら…、推しにはただ…幸せになってほしいだけなのに…!!進撃においては今は単行本派だから現時点でどうなってるのか分からないからこわい。