トネリコの憂鬱

つつましやかに暮らしを綴る。好きなものを語る。時々、毒も吐く。地方住みアラサーの日々。映画と漫画がないと生きられない人生。

【胸熱】もののけ姫を映画館で観るという夢が叶った

 

 ずっと、映画館でもののけ姫を観るのが夢だった。

ジブリ作品でもののけ姫が断トツに好きだ。もののけ姫が公開した当時、まだ幼かった私はもののけ姫を観に行きたくてたまらなかったのだが、母が「タタリ神」が怖いという理由で連れて行ってくれなかった。

そんな私をさすがにかわいそうに思ったのか、母はもののけ姫の大型アニメ絵本を買ってくれて(ジブリの大型絵本シリーズ、あれは良い)それを貪るように読んでいたのを思い出す。

子どもながらに予感は当たっていた、大型絵本からでも自分はもののけ姫の世界観にどっぷりと嵌まり込んでしまった!初っ端から出てくる、人間への憎悪で怒り荒ぶるナゴの守のタタリ神のヴィジュアルからしてとても惹かれた。巨大な猪の全身が、黒っぽいうにょろうにょろとした無数の触手で覆われている姿はまだ幼い私に強烈なインパクトを与えた。

その後上映が終わってからはVHSやテレビ放送等で何度も視聴したのだが、大人になってからも「映画館で観れなかった」という後悔が心の片隅にあった。それが今回の、ジブリ4作品のリバイバル上映で長年の夢が叶ったのだ。


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「森と人、双方生きられる道は無いのか」というアシタカの台詞がある。

自然と人間の共存。私はこれまで、風の谷のナウシカもののけ姫以上に丁寧に自然信仰を描いたアニメ作品を見たことがない。人間を描く作品は多くあれど、“自然”というコントロール不能な壮大なテーマを扱い、そこに生きる動物たちや人間とのドラマという難しいテーマに果敢に挑み傑作を生み出した宮崎駿とその制作に関わった全ての関係者の方々に心から感謝したい。

 

 前置きが長くなってしまったが、今回映画館で改めてもののけ姫リバイバル上映を観た感想を綴っていく。

まず、当たり前だと言われるかもしれないがテレビと映画館じゃ全然音響が違う!

もののけ姫のOPの時点でもうヤバい。もののけ姫はサントラも傑作なわけだが、久石譲雄大で迫力のある…、かつ生きることの儚さを感じさせるような音楽は劇場で体感しないと勿体ない。

劇場ではテレビで見た時では分からなかった細かな部分の効果音に気付くことができただけでも新たな発見だった。

そして何度見ても感動するのが、主人であるアシタカにどこまでも忠実なヤックルの愛くるしさと、シシ神の森に集う古の神々の動物たちの必死に生きる姿。

特にモロ一族の気高さと荒々しさと美しさには痺れるものがある。山犬最高。私はモロの君が好きだ(CV:美輪明宏の演技も素晴らしい)

夜、うなされて目が覚めたアシタカとモロとの対話は何度見ても思わず涙ぐんでしまう。

モロは、シシ神の森を守り続け、森を破壊し続ける人間とエボシへの執念がある一方で、生贄として捧げられた赤子だったサンに憐みをかけ大事に育ててきたという優しさと母性を持っている。サンがまだ小さな頃から着るものを与え、毎日食べ物を与え、人間の言葉を教え、時には遊び相手になったり、寒い夜なんかはきっとモロとその子どもたちが一緒に寝てサンを温めてくれていたに違いない。尊すぎやしないか犬神様。山犬たちのサン子育て奮闘記を妄想するだけで山犬愛が止まらなくなる。

 そして、エボシ御前について。エボシは野心と優しさを兼ね備えた、大変魅力的な人物である。彼女はシシ神の森に住むものにとっては脅威だが、タタラ場に住む人にとっては恐しくも頼もしいリーダー的な存在で、慈悲深い人物である(売られた女たちを引き取ったり、ハンセン病患者に仕事を提供したり、その当時の行き場のない人々に救いの手を伸べて生きる居場所を与えている)

自然と人間、どちらの登場人物も“生”にしがみつこうとする。もののけ姫ではその双方の理由がきちんと描かれているから心に訴えかけてくるものがあるのだろう。

 

 ちなみに、もののけ姫についてはかのオタク四天王の1人・岡田斗司夫の解説&考察が個人的には結構良いと思ったので興味があるお方はぜひこちらのリンクからどうぞ↓

 

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